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【メンタルヘルス】将来には診断が大きく変わるかも?DSMからRDoCへの可能性

       精神医学の分野では、長年にわたり「診断と統計マニュアル(DSM)」が精神障害の診断の基準として用いられてきました。しかし、10年後には、この伝統的な診断方法が大きく変わる可能性があります。そのキーワードが「RDoC(Research Domain Criteria 研究領域基準)」です。RDoCについて、検索すると日本語で書いているものが今のところほぼ見つからなかったので、今回は分かる範囲内で、こちらにまとめたいと思います。     RDoCは、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)によって提案されました。従来の精神障害の診断方法、特にDSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 精神障害の診断と統計マニュアル)が症状や行動に基づく分類を主軸としているのに対して、RDoCは神経生物学、遺伝学、社会科学、心理学などの広範な研究成果や要因を統合的に捉えて、精神障害をより深く理解することを目指しています。このアプローチは、精神障害を単独の症状や病気としてではなく、複数の次元(例えば、情動、認知、社会的プロセス)にまたがる様々な生物学的プロセスとその相互作用によって生じるものだと捉えるのです。この枠組みでは、以下のような要素を重視します。 1. 神経回路: 脳の特定の領域や回路が精神障害にどのようい関与しているか。 2. 遺伝子と環境: 遺伝的要因と環境要因がどのように相互作用し、精神障害の発症に影響を与えるか。 3. 発達の視点: 個人の発達段階が精神障害の発症や進行にどう影響するか。     例えば、ADHDとかASDといった診断名ではなく、各遺伝子の多型や発現レベル、受容体や酵素の活性、実行機能やワーキングメモリなどの指標によって、特性や病態が理解されるようになります  うつ病や不安症などは、異なる障害に共通する要素(例えば情動制御の問題など)を研究して、それらがどのように脳の特定の部位や生物学的プロセスと関連しているかを探求することが可能になってくるのです。これによって、精神障害のより深い理解と、より効果的な治療法の開発につながると期待されています。      近い将来、このRDoCの枠組みが精神医学の診断と治療においてより重要な役割を果たすようになるかもしれません。このアプローチは

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